きものコトバ ハ・テ・ナ
 「きもの」は私達日本人の祖先が日本列島に定住して以来、長い歳月をかけて作り上げてきた民族衣装です。衣服を制作する技術の発明改良、生活上の創意工夫、渡来文化の影響などによって少しずつ形を変えながら、現在の「きもの」が生まれました。
 「きものコトバ」をたどると、それが名付けられたときの生活様式や時代背景が見えてきます。時代が違うと同じ日本という国であり、日本人という国民でありながら、異なった美意識や価値観をもっていたことに思い当たります。それは忘れかけていた私達日本人の心のふるさとかもしれません。

 「きもの」には着用する「とき」「ところ」によって様々な種類があります。慶びのとき、楽しみのとき、暑いとき、寒いとき、晴れやかなところ、遊びのところ、寛ぎのところ。それぞれの「とき」と「ところ」にふさわしい「きもの」があります。
呉服 振袖 留袖 訪問着
付下げ 紋付 羽織 コート
四つ身 襦袢 浴衣
単衣
袋帯 名古屋帯 半幅帯
角帯 染帯 絽綴 八掛
重ね襟 帯〆 西陣 上田紬
みさやま紬 残糸の大島紬 紬ちりめん 小千谷縮
下駄 団扇 御召 塩沢絣
綿ちりめん 被布 袖無し羽織
小袋帯 初着 綿棉 信州紬
更紗 結城紬 紗羽織 士乎路紬
湯揉み絹縮 仙台平 夏ひとえ ほぐし絣
ぜんまい紬 小紋

 「きもの」は繊維製品です。か細い糸を織り上げて布にすることで「きもの」は生まれます。どのような糸を用い、どのように織り上げるか、によって様々な「きもの」の素材が生まれます。
木綿 ウール 綸子
塩瀬 手引き真綿紬 近江縮 綿麻
真綿 デニム 白生地
セオアルファ

 「きもの」の染め方は大きくふたつに分かれます。布になる前に糸から染める「先染め(さきぞめ)」と、布になった後から染める「後染め(あとぞめ)」です。「先染め」は「織物」、「後染め」は「染物」と大別できますが、染め方、織り方、には様々な染織技法があります。
友禅 ろうけつ染 絞り染 型染
草木染 紅型 墨流し
松煙染 挽粉染 帽子絞 桶絞り
すくい織 斜子織 誂え染 洗い張り
一珍染 櫛織 日本刺繍 泥染
縫い締め 雪花絞り 総絞り 板締め絞り
蝋吹雪 板締め絞り 糸目友禅 濡れ描き
京友禅 暈し染 西陣織 摺り箔
杢目絞り

 様々な素材、技法を用いて「きもの」は生まれますが「きもの」に表現される意匠には「きもの」ならではの文様が多くあります。「きもの」に描かれる文様には日本の歴史や文化が色濃く反映しているのです。
飛白 朱珍 暈し
源氏香 青海波 熨斗目 流水
蜀江 笹蔓 水玉 文字
星座 音符
撫子 御所解 格子
梅花藻 薔薇 線形 破線
松竹梅 猫と犬 チェロ 音符
蜻蛉 大海原
水玉 観世水 孔雀
檜扇 カラー 七宝 あやめ
モリス モンステラ バイオリン アルストロメリア
宝船 金魚 椿
南蛮船 吉祥文様 睡蓮
雪輪 月兎

 古今東西、色は命です。しかし、色相も文様と同じく、日本の風土の所産であり、山紫水明の日本の風土から生まれた、日本の色があるのです。そして、それぞれの時代に生きた日本人に、愛され好まれた色も、またあるのです。
青磁色 銀鼠色 香色 撫子色
乳白色 マリンブルー 灰桜 生成色
若葉色 紺色 鳥の子
藍色 練色 茜色 支子色
浅縹色 空色 紺色 群青色
撫子色 水色 青色 秘色
刈安 銀鼠 白藍色

 「きもの」は、古来より日本人が着用した衣服が、時代の変遷と共に変化し、現代の「きもの」に完成したものですので、日本の歴史と伝統によって培われた、「きもの」の創られ方、使われ方があります。、「きもの」独自の用語がある由縁です。
対丈 おはしょり 繰越 袖丸 あげ 広衿
着流し 片身替わり 晴れ着 お太鼓結び 洒落着 着付け
七五三 十三参り 家紋 着物

上記文章およびリンク先ページにおいて、内容の一部に下記文献を参考にしております。
北村哲郎「日本服飾小辞典」源流社
「染織の美」京都書院
「日本の染織」泰流社
武光誠「日本語語源詮索辞典」創拓社
「広辞林」三省堂
「漢和中辞典」角川書店
「和服裁縫 社団法人 日本和裁士会編」