着物の模様には大きく分けて「総模様」と「絵羽模様」とがあります。着物の生地は約十三メートルありますが、型染や織物の場合、その総尺のなかで同じ柄が一定の間隔で繰り返されます。これを「総模様」と言います。「総模様」の着物地は、染物でも織物でも、十三メートルの総尺で出来上がりますので「着尺」と呼びます。これを「反物」とも、心棒に巻き取っていますので「巻反」とも言います。一方、「絵羽模様」は着物に仕立て上がった状態が絵模様になるよう、白生地を裁って、着物に仮仕立てをし、模様の下書きをします。これを「絵羽付け」と言います。「絵羽付け」をした後、仮仕立てをほどき、下絵にそって染め上げます。留袖、振袖、訪問着はこのような「絵羽付け」で制作します。
昭和四十年ごろ、訪問着のような「絵羽模様」を、仮仕立てをしないで直接、白生地に染める技法が開発されました。仮仕立てをしない分、手間が省けて、安価に制作することが出来たので人気を博しました。時あたかも、第一次ベビーブームで成人する女性が急増し、かつ高度成長の真っ只中、という事情もあいまって、この「絵羽付け」をしない「絵羽模様」の着物は一世を風靡しました。この「絵羽付け」をしない「絵羽模様」の着物が「付下げ」です。「絵羽付け」をしない「絵羽模様」の着物が「付下げ」と名付けられたのは、絵羽「付け」を省略して価格を「下げ」た、ことに由来します。いわば本格的な訪問着の簡易版、廉価版、という意味です。 |