ゆかた写真 ゆかた
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 今や若い人達の夏のファッションとして定着した「ゆかた」も当り前のことながらキモノ。もとをたどると平安時代にさかのぼります。


  『浴衣(ゆかた)』

 ゆかたは平安時代、入浴のときに身にまとった湯帷子(ゆかたびら)がはじまりです。当時は蒸風呂で、必ず身に単(ひとえ)の衣(ころも)をまとって入浴しました。素材は麻で、やがて入浴用と湯上がり用に分化しました。
 江戸時代に銭湯が普及するにつれ、湯上がり用に中柄の模様を染めて木綿の単を着ることが流行しました。その後外着にも用いられるようになり現在のゆかたになりました。

  『中形(ちゅうがた)』

 ゆかたは形紙で染めますが、その形紙には模様の大きさによって小紋、中形、大紋があります。ゆかたを染めるには、中柄の模様を彫りこんだ中形の形紙が用いられるので、ゆかたのことを中形とも呼びます。

  『長板(ながいた)』

 江戸時代からつづく伝統的な中形の染めは、長板と呼ばれる長さ三間半(約六メートル三十六センチ)幅一尺四寸(約四十三センチ)の樅(もみ)の1枚板を用いて染められます。この板の上に白生地を張り延ばして形紙をのせ、ヘラで糊を埋めて型付けをするのです。中形の場合、生地の表と裏の両面に同じ柄を表裏ぴちっと合わせて型付けしなければなりませんので、細心の注意と技術の熟練が必要で、現在は極めて少なくなっています。

  『注染(ちゅうせん)』

 長板染にかわって現在広く行われているのは明治初期に考案された注染の技法です。ゆかた二反分の木綿地を手拭いの長さに右から左へ、さらに左から右へ交互に延べひろげて折りたたみながら、そのたびごとに形紙を当て防染の糊をつけていきます。つぎに注染台にのせ、上から染料を注ぎ込んで染めます。

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