第三十四話

 神戸元町商店街で商売に携わるようになって50年近くになりますが、店舗の入れ替わりの激しさは驚くばかりです。

時代を読む
 こんなに「売れない」「売れない」とボヤいている私がいるのに、一方、「売れる」「売れる」とホクホクな方がいらっしゃる。この差は、違いは、一体全体、なんだ。最近、神戸元町商店街に高級食パンの店が次々出店して、行列はできるは、すぐ売り切れるは。ついこの間まで、人気のパン屋さんはありましたが、高級食パンの店はなかったのに。一杯飲み屋にも今風があるようで、なぜかこの頃、弊店の界隈は居酒屋風の店が激増で、ちょい飲み、とか言うそうですが、気楽に談笑しながらチビチビやっている。
 高級食パンといい、お洒落な居酒屋といい、今まで余り見かけなかったタイプの店が増えているのは、経済学的解釈をすると、ここにきて、唯のパンではない高級食パン、少し気取ってお酒を飲む、という需要が生まれた、ということでしょう。問題は、なぜ新たな需要が生まれたのか、ですが、時代が変わった。時代が変わって、人々の求めるものが変わったからでしょう。時代の空気、人々の気心を読むことがとても大事です。