第二十三話

 昨今、流行語大賞なるものがあり、年末行事の一つに定着しています。令和元年は「ONE TEAM」だそうですが、成る程、と納得す人が沢山おられるから流行語大賞に選ばれたのでしょう。

死語
 当時、流行語大賞なるものは無かったのですが、有ればきっと選ばれたであろう流行語に「三種の神器」とか「3C」というコトバがありました。しかし今や「三種の神器ってなんですか、3Cってなんですか」。「三種の神器」とか「3C」のように、最早、大半の日本人が知らいない、使われないコトバを「死語」と呼びます。「死語」とは言い得て妙ですが、コトバ(語)が(死)んで消えて無くなった。時折、「あのコトバ、死語になってしまったな」と、ある種の感慨を持って気付くことが往々あるのですが、その感慨の意味するところは、「時代が変わった」。
 あらためて言うと、「三種の神器」は白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機。「3C」はカラーテレビ、クーラー、カー(自動車)でした。「三種の神器」や「3C」が、なぜ時代を画する流行語になったのか、それはその時代、大半の日本人が「三種の神器」や「3C」を「所有」することを熱望したからです。夢だった、憧れだった、希望だった。第二次世界大戦で敗北し、すべてを失った日本人にとって、戦後復興の目標は、「所有」することだった。その象徴が「三種の神器」であり「3C」であったのです。