第二十三話

 昨今、流行語大賞なるものがあり、年末行事の一つに定着しています。令和元年は「ONE TEAM」だそうですが、成る程、と納得す人が沢山おられるから流行語大賞に選ばれたのでしょう。

死語
 当時、流行語大賞なるものは無かったのですが、有ればきっと選ばれたであろう流行語に「三種の神器」とか「3C」というコトバがありました。しかし今や「三種の神器ってなんですか、3Cってなんですか」。「三種の神器」とか「3C」のように、最早、大半の日本人が知らいない、使われないコトバを「死語」と呼びます。「死語」とは言い得て妙ですが、コトバ(語)が(死)んで消えて無くなった。時折、「あのコトバ、死語になってしまったな」と、ある種の感慨を持って気付くことが往々あるのですが、その感慨の意味するところは、「時代が変わった」。
 あらためて言うと、「三種の神器」は白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機。「3C」はカラーテレビ、クーラー、カー(自動車)でした。「三種の神器」や「3C」が、なぜ時代を画する流行語になったのか、それはその時代、大半の日本人が「三種の神器」や「3C」を「所有」することを熱望したからです。夢だった、憧れだった、希望だった。第二次世界大戦で敗北し、すべてを失った日本人にとって、戦後復興の目標は、「所有」することだった。その象徴が「三種の神器」であり「3C」であったのです。


第一話 How to do the AKINAI 第二話 鶏卵論争
第三話 シャッター街 第四話 街づくりは店づくりから
第五話 明日は我が身 第六話 必要は発明の母
第七話 「売る」と「売れる」 第八話 行列のできる店
第九話 「買う」とは何か、何を「買う」のか 第十話 「買わない」理由(わけ)は二通り
第十一話 「買わない」と「買えない」 第十二話 経世済民
第十三話 「出来ること」と「出来ないこと」 第十四話 なぜ変わるのか
第十五話 戦前・戦後 第十六話 「三種の神器」と「3C」
第十七話 コレクターという人種 第十八話 一億総中流社会
第十九話 三ダケ主義 第二十話 バブル経済
第二十一話 震災前・震災後 第二十二話 価値観の大転換
第二十三話 死語 第二十四話 断捨離
第二十五話 オーナ-派・レンタル派・リサイクル派 第二十六話 ツクル・ツカウ・ツナグ
第二十七話 モノ消費とコト消費 第二十八話 時間と空間
第二十九話 コナス 第三十話 目指せ、コナシの達人
第三十一話 SNS 第三十二話 WI作戦
第三十三話 需要と供給 第三十四話 時代を読む
第三十五話 大型ショッピングモール 第三十六話 街の○○屋
第三十七話 金太郎飴 第三十八話 人間力
第三十九話 老舗の力 第四十話 「商の道」は「人の道」