はじまり

 なぜ、私が、「まるたやフレンドリーコンサート」を始めたのか、という理由は、私が、音楽が好きだから、とりわけ、室内楽を演奏することが大好きだから、です。私は、40年前、早稲田大学交響楽団に入団し、チェロを弾くことを始めました、在団中、オーケストラ活動と併行して、弦楽四重奏をオーケストラ仲間と楽しみました。卒業後、神戸に帰り、家業の呉服商「丸太や」に入ってからも、西宮交響楽団という市民オーケストラに入団し、趣味として、オーケストラ活動と室内楽演奏を続けました。29年前、創設間もない、大阪シンフォニカーに入団し、2年間、オーケストラ活動を続けましたが、その活動を通じて知りあった女性と結婚しました。
 1983年、家内共々、大阪シンフォニカーを退団いたしました。家業に専念するためです。中学校の音楽教師だった家内も、呉服の販売に携わるようになりました。しかし、その後も、私たち夫婦は、西宮交響楽団、大阪シンフォニカー時代に親しくなった音楽仲間と室内楽の演奏を続けました。時に、サロンコンサートに出演することもありました。
 呉服屋になった家内は、仕事をしている間も、バイオリンから離れたくないという思いで、バイオリンがデザインされた着物や帯を身につけたいと考えました。しかし、長い間、探し求めたにもかかわらず、見つかりませんでした。無いのなら、創ろう、と考えたのがきっかけで、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」と名付けた、音楽をモチーフにした、着物や帯が誕生したのです。1994年2月、店内で、最初の発表会を開催いたしましたが、その際、私たち夫婦と音楽仲間とで、弦楽四重奏のコンサートを、弊店向えの「ユーハイム本店」3階ホールで開催いたしました。なぜ、私たちが、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」という音楽をモチーフにしたオリジナル商品を制作したのか、それは、私たち夫婦が、音楽が大好きだから、そのことを理解していただくには、私たちが演奏する音楽を聴いていただくのが最良だ、と考えたのです。
 震災後、全国各地で開催した、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」の会場で、ミニコンサートを行ったのも、同じ理由からでした。そして、1995年10月、震災後、最初の、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」を発表を、神戸元町商店街、「丸太や」店内で開催した時、店内2階で、「Motomachi Music Week」と名付けた室内楽コンサートを同時開催いたしました。それが始まりで、今日まで、毎年、春4月、秋10月、「まるたやフレンドリーコンサート」を開催し続けてまいりました。