表 彰
 昭和三十年六月、丸太やに勤めることになった谷口さんが初めて来た日のことを幼な心に憶えているのです。父の前で神妙なイガグリ頭の谷口さんを父の背後から見ている光景。 あれから四十六年、父の死、オイルショック、叔父の死、バブル崩壊、阪神大震災、まるで荒波に今にものまれそうな小舟にも似た丸太やを一生懸命櫓を漕ぎ舵を握って支えてくれた谷口さん。平成十三年三月九日、新神戸オリエンタルホテルで開かれた神戸市商店街連合会創立五十周年記念式典で優良従業員として表彰されました。おめでとう。長い間ごくろうさま。
これからも丸太やを信頼してくださるお客様のためにがんばって下さい。


着 物 チ ャ レ ン ジ
 正直に申しますと呉服屋でありながらきのもを着るにはお正月か何かのときだけ、店内で男のきものを特集したおり折角だからときものを着用しました。意外だったのはきもの姿で元町界隈をウロチョロすると目立ってジロジロ見られるのではと予想したのですが全然アテがはずれてがっかりするぐらいでした。ご近所の方には「やっぱりきものはいいですね」とか「貫禄がつきますね」とか言っていただいて満足でした。きものを着たいけど恥ずかしいとためらわれているあなた、ご心配なく、思う存分きものでお洒落を楽しみましょう。


 朝、家を出る前の数分間庭を見るのが楽しみです。木も草も日々色を変え形を変える。名も無い雑草に一センチにも充たない可憐な花が咲いている。蟻やマルムシはせわしげに蝶は優雅に動き回る。
しかし一見のどかな景色も良く見ると熾烈な生存競争が闘われています。
葉を跡かたもなく食い散らす幼虫、捕獲の網を張り巡らす蜘蛛。
食うか食われるか、そうだ、みんな必死で生きているんだ。
生きとし生けるものいじらしい程健気に生きているんだ。
さあ今日一日負けないようにがんばらなくっちゃ。


禍 福
 「中国に『禍福はあざなえる縄のごとし』というコトワザがあります。人生良いことばかりではありません。しかし悪いことばかりでもない。どうかこれからおふたり手をたずさえ助けあって新しい道を歩んで下さい。」 結婚披露宴の席で叔父からいただいたスピーチです。あれから二十年目を迎えようとする今、あらためてこのコトバをかみしめています。 『禍福はあざなえる縄のごとし』確かに人生悪いことばかりではない、良いこともある。焦らず、おごらず、あきらめず、みんなで力をあわせ支えあって生きていかなければ。