第十章 縁 |
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物語の始まりはジャンケンでした。ジャンケンに負けたのが始まりでした。もし、あの時、ジャンケンに負けていなかったら、私は、家内と出会っていなかったかもしれない。家内と出会っていなかったら、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」は生まれていなかったでしょう。ジャンケンに勝つか負けるか、という児戯に等しいことで人間の運命が決まるとしたら、まさに、運命の悪戯、としか言いようありません。しかし、家内と出会い、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」が生まれた、それは、私には偶然ではなく必然だった、と思えるのです。家内と出会うべくして出会い、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」は生まれるべくして生まれた、と。 出会いは、ときに奇跡のようです。家内と結婚することになった時、なぜそうなったのかを振り返りました。すると、あの時のジャンケンのように、全てが偶然だったことに気がつきました。しかし、全てが必然だったように思えたのです。何か見えない糸にたぐりよせられるように、ふたりは出会ったのだ、と。「縁」。「縁」という美しい言葉でしか言い表せない何かによって。 「丸太やオリジナルコレクションコンサート」の生みの親である横山喜八郎さんとの出会い、名和野要さんとの出会い、から始まって、本藍染の芳賀信幸さん、ろうけつ染の長田けい子さん、上田紬の小山憲市さん、京絞り染の寺田豊さん、墨流し染の高橋孝之さん、本友禅染の木戸源生さん、綴織の服部秀司さん、伊勢型小紋の大野信幸さん、西陣織の山口和市郎さん、京小物の宮川雅宏さん、漆塗り・彫りの工房ポミワンネさん、京焼の上田さん、白磁の伊藤岱玲さん、手彫りガラスのグラスシアターさん、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」に作品を創り続けて下さっている方々との出会いもまた、それぞれの出会い方は違っていましたが、「縁」という言葉でしか表現し得ない素晴らしい出会いによって始まりました。 歴史に「IF」はありません。しかし、もし、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」が生まれていなかったら、震災後の、あの過酷な状況の中を、今日ここまで、「丸太や」はたどりつくことが出来ただろうか。確実に言えることは「丸太やオリジナルコレクションコンサート」があったから「丸太や」はここまでたどりつけた、と。「丸太やオリジナルコレクションコンサート」を創り続けて下さる方々との出会いがあって、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」を求めて下さるお客様との出会いがあって、今日の「丸太や」が在ります。そして、明日の、明後日の「丸太や」もまた、「丸太やオリジナルコレクションコンサート」を創って下さる方、お求め下さるお客様、との出会いによって在りうるでしょう。未来の希望は、出会いのなかにあるのです。 |
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