弊店社長・三木久雄と、女将・三木成美が出会ったのはオーケストラでした。久雄はチェロ。成美はヴィオラ。久雄はオーケストラの運営にも係り、成美はそれをサポートしていました。やがて二人は惹かれあい、そして結ばれました。 しかしやがて、二人を結びつけた音楽から離れなければならないときがきました。商売に専念するため、二人はオーケストラを離れることになったのです。成美は店に入ると、美しい着物の魅力を知り、着物に親しみをもつようになりました。しかし、幼少からバイオリンを習い、毎日楽器を携えてきた成美は、音楽から離れることに寂しさも感じていました。もし、着物や帯にバイオリンがデザインされていたら。着物と音楽が一つになれるとしたら…。そんな成美の思いを感じていた久雄は、手を尽くしてバイオリンの柄の着物や帯を探しました。しかし洋楽器をデザインしたものはどこにもありません。諦めるしかないのか…。そう思い始めていた二人に、転機となる出会いが訪れます。 楽器柄の着物を探し始めて三年後、ろうけつ染作家・横山喜八郎さんの個展を開催するため、工房にお伺いし、作品や制作風景を見学させていただきました。日展や現代工芸美術展で活躍されている横山さんの作品に感銘を受けたとき、「この方ならバイオリンを着物の中に見事に描いてくださるかもしれない」という思いが二人に生まれました。横山さんに、二人がずっとバイオリン柄の着物や帯を探していることをお話しさせていただくと、横山さんは「面白いテーマですね」と一言お応えくださいました。それから数ヶ月後、横山さんから届いた荷物の中に、なんとバイオリン柄の帯が入っていたのです。横山さんとの出会いから、二人の願いが叶った瞬間でした。 和の着物と、洋のクラシック音楽。かけ離れているように思えるこの二つが出会ったとき、はじめてわかったことがあります。着物と音楽は、どちらも暮らしと心に豊かさと楽しさをもたらすもの。楽しく豊かなひと時のために、着物と音楽は一つになることができるのです。同じ喜びを求めている人たちに、この作品を届けたい。二人は、願いを叶えてくれた作品たちを「丸太やオリジナルコレクション コンサート」と名付けました。 それからも、すばらしい製作者の方々との出会いに恵まれ、音楽をモチーフにした「丸太やオリジナルコレクション コンサート」は着物だけでなく洋服や日用品まで広がりました。日々の暮らしの中に音楽を取り入れて、心豊かに過ごしていただきたい。丁寧につくられた一つ一つの品には、そんな願いが込められています。製作者それぞれの個性豊かな作品たちをぜひご覧ください。皆様のお越しを心よりお待ちいたしております。 |
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