![]() |
|||||
---|---|---|---|---|---|
![]() 駅から車で一〇分ほどの工房へお伺いすると、小山さんが笑顔でお迎えくださいました。初めてものづくりの現場に伺う私は、職人気質の厳しい方が待っているのかもしれないと緊張していたのですが、初めてお会いした小山さんはとても明るく優しい方で、私たちを温かく迎ええくださいました。 十二月に丸太やに入社したばかりで、着物について一から勉強中の私。そんな私に小山さんは、上田紬とはどういうものなのか、自分の織物はどのように生まれるのかを丁寧に教えてくださいました。 ![]() 布になる前の糸を見たことのない私に、小山さんはたくさんの種類の糸を見せてくださいました。細く艶やかな糸、真綿のままのように柔らかくフワっとした糸、張りのある硬めの糸、自然の蚕が作った繭…一つひとつ個性の違うたくさんの糸たち。小山さんはこれらの糸を自在に組み合わせて独自の布を作ります。染色に使う材料も多様です。自然の味わいやぬくもりのある色を出したいときは、栗や胡桃、柳の葉など自然の植物から得られる草木染の色。自由に色を作りたいときは化学染料。求める色によって異なる素材を使い分けます。 「糸にはいろんな特性の違いがあります。色も草木でしか出せない味わい、化学染料だからできる自由な色だし、それぞれに良さがあります。どんな着物を作りたいか、どんな方にお召しいただきたいか、最終的なイメージによって使い分けています。」と、小山さんはおっしゃっておられました。 工房の二階には手機の織機があります。小山さんは作りたい織物の特性に合わせて動力織機と手機織機を使い分けています。「少し織ってみますか?」と言っていただいたので、初めて機織りの体験をさせていただきました。木造りの機に腰かけていざ挑戦!シンプルな動作ですが、なかなかスムーズに織れません。私の横では小山さんのお母様がもう一台の機で手際よく織られていました。「母はずっと機織りを続けてきたので、母にしか織れない風合いがあるんです。」と小山さん。熟練への道のりは果てしなく遠いと感じました。
![]() ぜひ、皆様にもこの着物のぬくもりを感じていただきたいと思います。小山憲市さんは一月十一日、十二日の両日、上田から弊店にお越しくださいます。皆様のご来店を心よりお待ちしております。 三木 麻衣子 |
![]() |
![]() |
![]() |
---|
![]() |
---|