二年後、2008年春に寺田豊さんから、「花祭り 佐竹司吉 寺田豊 二人展」の案内を頂きました。4月1日から「京絞り染 寺田」のお店がある京都市下京区の「船鉾町家」で、「西陣坐佐織」の佐竹司吉さんと二人展を開催されるとの案内でした。会場を訪れると寺田豊さんと佐竹司吉さんが出迎えてくださいました。初めて拝見させていただいた「西陣坐佐織」の帯は、どれも個性に溢れていて、かつて見たことのない多彩な表現で、心打たれました。見惚れていると、階下から女性が上がってこられました。佐竹司吉さんが、「娘です」と佐竹美都子さんをご紹介くださいました。私は、それまで、オリンピックに出場された選手を間近に接した経験が無かったのですが、まわりの空気がピッと引き締まるような凛とした清楚さがオーラのように漂っていました。「花祭り 佐竹司吉 寺田豊 二人展」が終った直後、早速に、佐竹司吉さん、美都子さん親子が、「丸太や」を訪ねてお越しくださいましたが、私は、弊店のお客様に、「西陣坐佐織」の作品をご覧頂く機会を設けていただけないか、とお願いしたところ快くお受けくださり、翌年の五月に開催していたく事をご了解いただきました。 翌2009年4月1日、息子、三木弦が「丸太や」に入社しました。丁度その日、「花祭り 佐竹司吉 寺田豊 二人展」が「船鉾町家」で開催されましたので、息子を同行して会場にお伺いしました。息子は、佐竹司吉さん、美都子さん、寺田豊さん、三人を前に入社の決意を述べました。すると、佐竹司吉さんは、「私たちは、帯を締める、とは言わないのです。帯びは結ぶものなのです」とおっしゃいました。確かに、私も、何の抵抗も無く、帯を締める、と思いもし、言いもしてきました。佐竹司吉さんに「帯びは締めるものではなく結ぶもの」と聞かされて、成る程と納得しました。帯屋さんは結ぶために帯を創られるのだ。結ぶのは、織手の心と着手の心。帯を介して、織る人と着る人の心が結ばれるなら、呉服屋である私は、その結び目にならねばならない。良き結び手にならねば、と心を新たにいたしました。 |