ハッキリ言ってCDは嫌いです。レコードが大好きです。30センチ四方のレコードのジャケット、それがクラシックであれ、ジャズであれ、ポップスであれ、レコードのジャケットは現代最高のアートです。どんなに素晴らしいデザインをアーティストがレコードジャケットに描いてきたことか。その膨大なコレクションが日常生活の中にさりげなく置かれ、レコードを聴くたびに、眼に触れ、手に触れる。それは、手の届かない名画を遠目に見ることより、はるかに生きた芸術鑑賞です。かたやプラスティックケースに入ったCDジャケットの、なんとちっぽけなこと。そこにアートは生まれようがない。音もレコードのほうが楽しい。聴く楽しさがあります。
 しかし、CDが誕生して良かったことが唯一あります。かつてレコードを録音、制作することは大変でした。余程でないとレコードを作れない。レコードしかなかった時代、クラシックやジャズでは邦人の演奏家のレコードは極く稀でした。しかしCDが出現して、はるかに容易に録音、制作が出来るようになり、日本人の演奏を聞く機会が随分増えました。いつも「まるたやフレンドリーコンサート」で楽しい演奏を聞かせてくださる「まるたやミュージックフレンド」も、たくさんCDを発表しています。どのCDもみんな、とっても楽しぃでぇ。

『 日本の風景歌 』  岡本雄一
 <ジパングコンソート>は六人の男性によるアカペラ・ヴォーカルグループです。平たく言うと日本のキングスシンガーズ。男性ばかりなので、低いほうは勿論問題ないですが、高いほうも問題ありません。性質も声質も似ているので素晴らしいハーモニーを聞かせてくれます。このCDは題名の通り、日本人に愛唱されてきたナツメロ、懐かしのメロディーが歌われています。言葉が分かる、ということが、どれほど心に届くことか、日本人に生まれて良かった。岡本雄一さんはヴォーカルの華、テナーです。


『 デキャラージュ 』  立花礼子
 ギターという撥弦楽器と、バイオリンという擦弦楽器の二重奏は、同じ弦楽器どうし、ということもあって、相性が良いのですが、ギターの溝淵仁啓さんとバイオリンの立花礼子さんとのDUOグループ<デュオ ボスマール>は、おふたりの共感が共鳴して、いつも素敵な演奏を聞かせてくれます。このCDは<デュオ ボスマール>の処女作ですが、おふたりの音楽上の趣味嗜好が、見事に一致していることが聞き取れます。渾身の一作ですが、是非、二作目を聞かせていただきたいものです。


『 いつも何度でも 』  時田直也
 時田直也さんはこれまでに何度か「まるたやフレンドリーコンサート」にご出演いただいているのですが、その歌声に、いつも涙あふれてきます。なぜだろう。それは、きっと、時田さんが心で見、心で感じ、心で考えたことを歌に託されているから。心の歌だから。見ているようで見ていない、感じているようで感じていない、考えているようで考えていない、そうなりがちな私たちが見失ったものを、時田さんの歌は気付かせてくれる。人生で大切なものは何なのかを。


『 春 』『 夏 』『 秋 』『 冬 』  成川昭代
 <カヴァサントリオ>は、マンドリン、ギター、チェロ、というユニークな編成のトリオです。マンドリンの川口雅行さん、ギターの松本吉夫さん、にチェロの成川昭代さん。昭代ちゃん、と突然ちゃん付けになりましたが、昭代ちゃんは大阪シンフォニカーの仲間でした。まだ大学生で、とっても愛らしいけれど、チェロはピシッとしていました。<カヴァサントリオ>の演奏は清里マンドリン音楽祭で何度か聞かせて頂きましたが、昭代ちゃんのチェロは相変わらずピシッとしていますがとても愛らしいです。


『 Guitar Recital 』  
 さんのギター演奏をはじめて聞いたのは「清里マンドリン音楽祭」での<カヴァサントリオ>のコンサートでした。そのコンサートの中で一曲、ギターで独奏されたのです。音の美しさ、適確さ、それがどれほどの音楽的な感性と技術によって紡ぎだされるのか、充分に捉ええたとは思いませんが、ただならぬすごさは感じ取ることができました。このCDに、深く、静に耳を傾けると、ただならぬすごさは、やはりただならぬもであることが理解できます。「凍れる炎」。灼熱の想いを秘めて、尚、静謐であり続けること。


『 Romantic Clarinet Works 』  三戸久史
 三戸久史さんは日本で数少ない古典クラリネット奏者です。クラリネットはモーツァルトが活躍した時代に誕生した楽器ですが、生まれたばかりのこの楽器を、モーツァルトはこよなく愛し、晩年にクラリネットの協奏曲と五重奏曲の大傑作を作曲しました。当時のクラリネットは現在使用されている楽器と随分異なっていて、奏法も全く違います。当時の楽器を復元したのが古典クラリネットで、古楽器ならではの典雅な響を奏でます。このCDは古典クラリネットの魅力を居ながらに堪能できます。


『 ototom encole 』  宮下和子
 音楽企画集団<音登夢おととむ>はバイオリンの木村直子さん、チェロの木村政男さんによって結成されたユニークな音楽グループです。「まんが日本昔話」の俳優、常田富士男さんが語りで加わったり、ピアノ、バイオリン、ビオラが加わったりして様々なユニットで活動しています。「encole」と題されたCDは<音登夢>のコンサートでアンコールに演奏される曲を集めた小品集です。<音登夢>コンサートの楽しさが自ずと伝わってきます。バイオリンの宮下和子さんが参加されています。


『 風の忘れもの 』  宮名利育
 <あうろすフルートあんさんぶる>はフルートばっかりのアンサンブルです。このCDの題名「風の忘れもの」は<あうろすフルートあんさんぶる>の委嘱によって作曲された作品で、もう一曲「マリオネット」も委嘱作品です。その素敵な二曲を含め全曲がフルートアンサンブルのためのオリジナル作品です。フルートだけのアンサンブルはまさに風、風の歌です。どこまでも爽やかでありながら、忘れられない響が心に残る。宮名利育さんが何曲か、活躍です。