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  『松竹梅』

 お目出度い図柄の代表である「松竹梅」は、元来、中国の「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」に由来します。「歳寒三友」は宋の時代の文人画に好んで描かれた画題で、寒中にも色褪せない「松」「竹」、寒中に花開く「梅」が、清廉、潔白、節操という文人の理想を表現したものと見做されたのです。「歳寒三友」が日本に伝わったのは平安時代で、「歳寒三友」の本来の意味とは異なって、「目出度い」ことの象徴として江戸時代以降、日本人に広く流布しました。
 日本人が「松竹梅」の文様を「目出度い」ことの象徴として愛好したのは、「松」「竹」「梅」が何より日本の風景の中に身近に親しみ深く在るからでしょう。「松」の深緑、「竹」の浅緑、「梅」の紅白が、誰の目にも美しい光景として映ずるのです。「松」も「竹」も大地にしっかりと根を張って、どんな強風にも動じない。「梅」は寒さの真っ只中に笑みをこぼすように花を咲かせる。「松竹梅」は日本人にとって、やわらかに、たおやかに、しかし、したたかに、しなやかに生きることの象徴なのです。

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