十月も残り一週間となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか? 暑い時期が長かったので、ようやく着物の楽しめる季節がやってきたような気がします。この週末からは、二年ぶりに関 健二郎さんの「創作織」の会です。私が呉服やになって、早三十年近くなりますが、着物の着初めは、あてがいぶち、言われるままだったのが、やがて気に入った色柄を選ぶようになり、気が付くと、何よりも着やすい着物や帯を手に取るようになっていました。こんな私でも、一応看板ですから、お客様に「良い」と思ってもらえなくてはいけませんし、かといって高価なものをこれ見よがしに着るのは間違っています。そんな私にぴたっと来たのがこの残糸の大島紬でした。
 創っておられる関さんは、「すごい大島紬やね、と言われるんじゃなくて、素敵な着姿やけどそれ何?と言われるものを創りたい」とおっしゃいます。大島紬というブランドで選ばれるのではなく、品質を見て、触って、感じて購入してほしい。関さんは、ご自分の反物を広げるごとに「しゃきっとしていて、むちっと、むっくりとしていて・・・ええやろー」とおっしゃるのですが、本当におっしゃる通り、しゃきっと、裾さばき良く着られて、からだにふんわり、しっとり付いてくる感じがとても気に入っています。ある時、着物の雑誌の編集長さんが来店され、丁度この着物を着ていたのですが、ずばり「奥さん、素敵ですねぇ。それ何ですか?」色々な着物を見歩いておられる方にそう言われて、思わずにんまりしてしまいました!
 関さんは、糸の巻かれた管をカラコロといとおしそうになでながら柄を考えます。何種類もの糸を、その個性を活かして組み合わせ機にかけます。大きな体で、窮屈そうに機に座って、ドンッ、バンッ と手織りします。そうやって関さんの創っておられるのは、着る人のための「創作織」なのです。ぜひ、お一人でも多くの方に、着て楽しんでいただきたいと思います。
 なによりまず、ご覧になってください。お待ちいたしております。
成美♪