どこからかセミの声が聞こえるようになり、盛夏の訪れを感じます。夏は、自然も鮮やかな色に溢れる季節です。弊店でも、色彩豊かな作品をご覧いただける機会を設けました。【工房チリントゥ】戸谷真子さんの紅型作品展です。
 弊店と戸谷真子さんとのご縁のきっかけは、紅型について調べていたときに戸谷さんの作品を偶然目にしたことでした。紅型は今から五百年ほど前の琉球王朝時代に生まれた沖縄の染物です。もとは琉球王朝の王侯貴族が纏う衣服のための技法で、色鮮やかな顔料を用い、型紙で多彩な模様を表現します。紅型といえば、沖縄の風物など南国らしい模様と力強い鮮やかな色彩のイメージがありましたが、戸谷さんの作品は、どこかやさしげであたたかみがあり、これまで見てきた紅型とは違う魅力を感じました。工房が大阪にあるということで、工房までお伺いし、お仕事の様子や作品を拝見させていただきました。戸谷真子さんの、細部まで丁寧に仕上げていくモノづくりへの姿勢や、お人柄がそのまま表れているような作品に感銘を受け、この度弊店で作品展を開催させていただくこととなりました。
 戸谷真子さんは名古屋市のご出身です。子供の頃から奇麗なものが好きだったそうで、染織家を志し、沖縄で琉球紅型御三家のひとつ【知念家】の知念績元氏に師事されました。その後京都でも研鑽を積まれたあと、現在は大阪で制作活動をされています。戸谷さんの人生を変えたのは、師・知念績元氏に言われた「あなただけしか作れない紅型をしなさい」という言葉だそうです。沖縄の風土で育まれた紅型の魅力を、沖縄の外で表現できるのか、戸谷さんにも迷いがあったことでしょう。そんな戸谷さんに進むべき道を示したのが、師の言葉だったのだと思います。戸谷さんの作品は、技法的には琉球紅型の本流を受け継ぎつつ、伝統的なデザインのみに捉われない、自由な発想に溢れているように思います。戸谷さんがその目で見て、感じた、心の情景が、その色模様の中に表現されているのです。
 この度の作品展では、紅型のバッグやがま口財布、扇子など、戸谷真子さんが手がけた多彩な紅型作品をご覧いただけます。帯や着物のオーダーメイドも承ります。八月八日(土)・九日(日)の二日間は戸谷真子さんが弊店にお越しくださり、紅型の実演をしてくださいます。ぜひご高覧ください。ご来店を心よりお待ちいたしております。

8月8日(土)・9日(日)に戸谷真子さんをお招きして、紅型実演と茶話会を開催いたします。色鮮やかな紅型作品に囲まれながら、戸谷真子さんとの楽しい時間を一緒に過ごしませんか。
【とき】8月8日(土)・9日(日)13:50 丸太や集合
【参加費】1,800円(紅型コースタープレゼント)
【ドレスコード】お着物・お洋服どちらでもOK
【定員】各日とも5名ほど
【締め切り】8月3日(月)
     丸太やまでぜひお申込みください。
     TEL:078-331-1031

 戸谷真子さんのデザインは全てオリジナルです。題材は身近な動植物だったり、頭の中に浮かんだ空想だったり、様々。スケッチを重ねて、最終的な図案に仕上げていきます。これまでに作られたデザインにはそれぞれ模様ができるまでのストーリーがあり、まるで絵本を読んでいるようなやさしい気持ちになります。
 型紙に図案を写し、小刀で型を彫ります。糸のような細い線や、透かし彫りのように繊細な模様も一つ一つ手で彫ります。最後に型紙を補強するため紗張りをします。
 型紙を生地に置き、糊で型置きします。模様の周りを糊で囲むようなかたちになり、中に色を挿すことで模様を表現します。連続する模様の場合は、前後の模様とずれないように型紙を合わせながら型置きします。
 色挿しには天然の顔料を使い、大豆の絞り汁を使った呉汁を混ぜて乳鉢ですり潰し、その日に使う分だけの色を用意します。一度下塗りをした上に、もう一度色を重ね塗りし、色に厚みを出します。さらに、部分的に暈しで隈取りをし、深みと奥行きのある紅型らしい色合いに仕上げます。
 柄の色挿しのあと、一度蒸して水洗いしたら、もう一度柄を糊で伏せて地色を染めます。地色と柄の色を、工程を分けて染めることで、それぞれの色が際立ち、紅型独特の明瞭な色彩が生まれます。
 色挿しが全て終わったら、全体をもう一度蒸して水洗いし、生地のゆがみなどを整えて仕上げをしたら完成です。戸谷真子さんの工房では、ほとんどの工程を分業ではなく一貫して制作しています。そのため、細部まで戸谷真子さんの思いが行き届いたオリジナルの作品が生まれるのです。

バッグ、日傘、がま口、扇子など、日々の暮らしにちょっと彩りを添えるような様々な作品をご用意しています。着物にも洋服にも合わせやすく、様々なシーンでご愛用いただけるでしょう。ぜひ実物をお手に取ってご覧ください。
日傘
バッグ
扇子
がま口

お好みの柄と配色で、着物や帯のオーダーメイドも承ります。
戸谷真子さんの個性あふれる紅型を身にまとってみませんか?
「お茶、ちゃ・ちゃ・ちゃ。」
「小豆島」
「ナゴラン〜沖縄のキオク」
「アンティーク時計」