日本は紬の宝庫です。全国各地で、その土地の風土や、作り手の思いが込められた、都市それぞれ固有の織物が作られています。結城紬や大島紬のように有名でなくても、それぞれにこだわりを持った逸品があるのです。 この度弊店でご紹介するのは信州の【三才山紬(みさやまつむぎ)】と能登の【士乎路紬(しおじつむぎ)】です。どちらも作られている量が多くなく、なかなかお手に取ってご覧いただける機会のない紬かもしれません。ですが、その風合い、着心地は、全国どこの紬と比べてもけして引けを取りません。何より、弊店の女将が惚れこみ、長年愛用してきたものなのです。 着物というのは、とても正直なものです。着物に込められた作り手の思いやこだわりは、その着物をお召し頂いたときに、着心地や、着姿の美しさとなって表れます。弊店女将が身をもって味わい、自信をもってお勧めする逸品紬です。ぜひこの風合いをお確かめください。 |
この着物には「街の明かり」という題がついています。栗とカリヤスだったかと記憶しているのですが、草木染のぬくもりのある色柄に惚れ込んで求めたのは、三十年程以前のことです。 「結城紬と同じ手引きの真綿糸を使って織られているのですよ。」と、当時の担当の方から説明を受けて、着物を着始めたばかりの身には、ちょっと贅沢だな、と思いつつも、包み込まれるような着心地が気に入って、私の冬の定番着物になりました。 最初のころは、赤い絞りの染帯を合わせて着ていましたが、横山喜八郎さんの染めて下さったバイオリンの帯と出会ったとき、この紬のパートナーは、この帯になりました! 【きものサロン】2017-18秋冬号 士乎路紬の特集が掲載されています。 |
私が生まれて初めて、自分で、「コレが欲しい!」と思って求めた着物が、三才山紬でした。玉ねぎと藍で染められた横段ぼかしの着物です。「勝負着物」とでも言いましょうか、何か自分にパワーをくれる着物です。 こちらの、山桜や栗で染められた淡い色合の三才山紬は、きもの季刊誌「きものサロン」で呉服屋の女将さん特集があって、取材を受けることになった時に、せっかくだから、と新調した記念の着物です。 三才山紬は、紬ならではのざっくりとした着心地と、絹糸の艶やかさ、しなやかさが生きているというのが素晴らしいです。そして、私が今迄に着たものの中で、一番丈夫です!私の着物は、仕立て屋さんに呆れられるほど、裾や袖付けがすぐに傷んでしまうのですが、三才山紬は、二度三度と洗い張りして、さらに着心地が良くなるという優れものです! |