誂え染めとは、お客様のご要望を丁寧にお聞きしながら、お客様のためだけのまったく新しい着物を作り出すこと。一点一点が唯一無二の作品になる誂え染めは、染織家にとっては最も難しい仕事であり、最もやりがいのある仕事でもあります。誂え染めができる染織家は多くありません。誂え染めには染織家としての高い総合力が求められるからです。お客様のご要望を汲みとる力、それを目に見えるカタチにするデザイン力、そして、美しく染め上げる高い技術力、これらすべてが揃って初めて誂え染めをすることができるのです。 本友禅染作家・木戸原生さんは誂え染めのエキスパート。これまで弊店でも数多くの別誂えをお受けいただき、いつも私達の想像を超える素晴らしい作品を制作してくださっています。ゼロから作品を生み出す誂え染め。難しいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、木戸さんにお任せすれば大丈夫!今回は、弊店オーダーのピアノ柄染帯を参考に、誂え染めの流れをご紹介します。 (1)デザイン まずはつくりたい着物や帯のイメージを相談します。最初のお打ち合わせは木戸源生さんと弊店で直接お会いいただき、お客様のご要望を丁寧にお聞きしますので、安心してご相談ください。お好きな花や思い入れのあるモチーフがあれば、それを基にデザインを制作できます。明確なイメージが無くても大丈夫。「好きな色を使った帯」「九月に着る着物」「コーディネートしづらくて着ていない着物に合わせる帯」などなど、お客様のご要望に合わせたご提案をさせていただきます。 弊店の新作帯の打ち合わせでは、透かし彫りの譜面立てとピアノの鍵盤をモチーフにしたデザインをお願いしました。配色のイメージもこのときにお願いします。爽やかなブルーグリーン系の色をベースに制作していただくことにしました。 (2)図案確認 お客様との最初のお打ち合わせでイメージが決まりましたら、図案を制作します。実寸で描かれた図案が仕上がりましたら、一度図案をご覧いただきます。ここでもお客様のご要望をお聞きし、変更点があれば調整いたします。図案をご確認いただき、ご了解をいただきましたら、染めにかかります。 ピアノの帯の図案には木戸さんのアイディアがたくさん盛り込まれていました。透かし彫りの譜面立てのデザインの中に、様々な音楽記号をさりげなく忍ばせたデザインを考えてくださったのです。一見すると普通のアラベスク調の模様ですが、よく見るとト音記号や音符になっています。一ひねり利いた、思っていた以上のデザインになりました。 (3)染め 図案をご確認いただきましたら、いよいよ染めにかかります。下絵、糊置き、色指しなど、制作工程一つ一つが手仕事。一点一点丁寧に染めていきます。デザインから染めまで、機械に頼ることなく一点ずつ制作することで、お客様一人ひとりのご要望に沿うものづくりができるのです。 今回はピアノの帯の糊置き、色挿しの工程を拝見させていただきました。たとえデザイン力に優れていても、それをカタチにする高い技術力がなければ良い作品は生まれません。細い線や細かい色挿しに、あらためて木戸さんの技のすばらしさを感じました。 あなたの思いをカタチにする誂え染め。世界にたった一つだけ、あなたのためだけのオリジナル作品を一緒に創作しましょう。ぜひ一度お気軽にご相談ください。ご来店を心よりお待ちいたしております。 |
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