もう、一年以上も前のことです。若い女性が店内に入ってこられて「京都の帯屋なのですが」と切り出されたのです。話をお聞きすると「北織」という西陣の帯問屋の社員さんで弊店と取り引きができないかと訪ねてこられたのです。「神戸に弊社の商品を扱っていただく小売店さんが無いもので、是非お店と思ってお伺いしました」とおっしゃられたのです。その後も何度かお越しになられて、その都度、商品も持参され説明をして下さいました。 弊店に飛び込みで営業にお越し下さった「北織」の藤原裕弥さんの熱心さに心動かされて昨年十月に京都のホテルで開催された新作発表会を拝見にお伺いしたのですが、展示された数多い商品の中に、名古屋帯が沢山あったのに眼がとまりました。染帯でこそ名古屋帯は多いのですが、こと織の帯となると、ほとんど袋帯で名古屋帯は本当に少ないのです。しかし実際お召しになる際には名古屋帯は軽くて結び易くて、織の名古屋帯の場合、染帯ほどくだけ過ぎなくて重宝なのです。是非、弊店のお客様にご覧いただく機会をお作り頂けないかとお願いしたところ快諾していただきました。 この度、「功雅織」という「北織」独自の織帯を発表させていただきますが、「功雅織」は着物を愛する方に喜んで着用していただけるよう意匠や風合いに心を籠めて制作されています。これまで弊店が取り扱った織帯とは、また、一味も二味も違ったお洒落な帯で、「北織」が帯専門問屋だけに流石に多種多様な品揃えです。ご来駕ご高覧の程心よりお待ちいたしております。 |