本友禅染の染織作家、木戸源生さんを弊店にお引き合わせくださったのは、本綴織の織元である、服部秀司さんでした。昨年の一月に遡ります。弊店のお客様から、愛犬のパピオンを染帯に描いて欲しい、というご用命を賜りました。それまで、草花模様とか、勿論、弊店オリジナルの楽器柄とかで、染帯を別誂えさせていただいたことは、度々あったのですが、犬とか猫とか、は無かったので、それも、パピオンという愛犬なので、ことさら難しそうで、どなたに描いていただいたら良いものか、考えあぐねていました。 　そんな折、弊店で、本綴織の会を開いてくださった服部秀司さんが、期間中、会場に詰めてくださっていて、四方山話の中で、「木戸源生さんという、本友禅染の作家がおられて、素描をされたら、間違いなく、日本一の方です」と、何の話の流れかは忘れましたが、そうおっしゃったのです。「実は今、愛犬のパピオンを描いて、染帯を創って欲しい、とういうご注文を頂いているのですが、どなたにお願いしたら良いものか、困っているのですが」と、お話しすると、「木戸源生さんだったら、間違いなく、創っていただけますよ。よかったら、ご紹介いたします」とおっしゃってくださったのです。 　そして、早速、数日後に、木戸源生さんを、弊店にお連れくださいました。日本一、とお聞きしていて、何となく、いかめしい方かな、という先入観を持っていたのですが、初対面の木戸源生さんは、実に気さくな方で、正直、ほっとしました。ところが、「ご参考に、猫を描いた染帯を、お持ちしました」とおっしゃられて、広げられた帯を拝見し、成る程、服部秀司さんが、日本一、と太鼓判を押されるのは当然だ、と納得いたしました。猫が、生き生きと、しかし、愛らしく、帯に描かれている。その筆の運びの、細やかなこと。見事でした。恐る恐る、値段をお訪ねして、二度、ビックリ。驚くほどの、お値段でした。 　後日、ご注文くださったお客様と、木戸源生さんが、弊店で落ち合われ、色や柄のご相談をされて、愛犬、パピオンの染帯を制作されたのですが、出来上がった染帯は、素晴らしく、お客様も大満足されました。その帯をお締めになって出かけられると、必ず、見も知らぬ方から「素敵な帯ですね」と声を掛けられる、とか。お客様と、木戸源生さんと、良いご縁を取り持つことができて、本当に良かったと思います。 　昨年九月には、「遠々と本流　木戸源生　染個展」を開催し、木戸源生さんの力作を、お客様にご高覧頂くと共に、合わせて、「木戸源生　別染受注会」を開催いたしました。「雀」「鶴」「鉄線」「糸菊」「曼珠沙華」などなど、色々な題で、着物や帯、コートのご注文を頂戴いたしましたが、出来上がった作品に、お客様は皆様、大変、お喜びくださいました。木戸原生さんも、お客様がお喜びくださることを、何よりの励みとされておられます。 　本年も、十一月一日(土)より九日(日)まで、「源流 本友禅染 木戸源生」を開催いたします。 　また、十一月一日(土)、二日(日)、三日(月)、の三日間は、木戸源生さんに、弊店にお越しいただいて、「木戸源生　別染受注会」を開催いたします。何卒、ご来駕、ご高覧のほど、心よりお願い申し上げます。

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