と き 5月3日(木)より15日(火)まで
10:30〜19:00 水曜定休日
ところ 神戸・元町 丸太や 1,2階特設会場

 フランスの高校に娘さんが留学することになり浴衣のご注文を頂きました。当地での交流会等で着物が着られたら、とのこと。といっても本格的な着物を着るのは難しいので浴衣やウールだったら少し着方の練習をすれば、と挑戦されされました。ところで浴衣の注文が「かえるの柄」。以前から親子して藍染の芳賀信幸さんの大ファンで「かえるの柄で芳賀さんに浴衣を染めてもらってください」とのこと。「Tシャツも一緒に」。
 正直、「エッ!?」。Tシャツは兎も角、かえるの浴衣。後日「私の好きなかえる」と写真をいっぱい持ってこられて「可愛いでしょ」と同意を求められ、内心、可愛いと言えば可愛いし、絶句。「どんな感じで出来あがるか分からないから、まずTシャツを作ってもらいましょう」。出来上がってきたかえるのTシャツはさすがにそれらしくて、Tシャツらしい遊び感覚に溢れていて、お客様も我々も大満足でした。じゃー、いよいよ浴衣。
 芳賀信幸さんの想像力(創造力)にはいつも感心させられてきましたから出来上がってくる作品に不安はありませんでしたが、さすがに「かえるの浴衣」。いったいどんな浴衣が出来上がるのか我々凡人にはまったく想像もつきませんでした。ところが出来上がってきた「かえるの浴衣」、反物を広げた途端、「芳賀さんは天才だ!」とおもわず叫んでしまいました。なるほど「かえるの浴衣」。ゲテモノでもキワモノでもない、まぎれもなく「かえるの浴衣」。
 ご主人が楽器商をなさっておられて、奥様はチェリスト。震災後、弊店のウィンドウに陳列してあったピアノの帯を眼に留められたのがご縁で、以来、公私にわたってお付き合いさせて頂いています。これまでにもご家族皆さんがTシャツ、奥様が浴衣やブラウス、ワンピースを藍染でお作り頂きました。ご友人がフランス料理のお店をオープンされたおりは「鱒亭」というお店の名前にちなんでシューベルトの「鱒」のイメージでタペストリーを制作され開店記念にプレゼントされたこともありました。取引先のフランスのハープメーカーやクレモナのバイオリン工房のためにタペストリーを作らせていただいたこともあります。それらすべての特注品をまさに芸術作品として芳賀信幸さんはお客様の期待に応える、それどころか期待を越える傑作を作り続けて下さったのです。
 芳賀信幸さんが使用されている藍は徳島の「阿波藍」で生産量が極めて限られています。作家活動をされている一部の染色家だけに配給されている貴重な染料です。まさに「本物の藍」を用いた「本藍」。弊店のために、弊店のお客様のために「本物」を作り続けてくださる芳賀信幸さんに言葉に尽くせぬ感謝を捧げます。